研究課題/領域番号 |
19592279
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 誠 北海道大学, 北海道大学病院, 准教授 (10202970)
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研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80241321)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
大廣 洋一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40301915)
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キーワード | 口腔扁平上皮がん / 腫瘍再発 / p56ファミリー |
研究概要 |
腫瘍の転移と再発は予後を左右する大きな要因であり、その防止対策が急務である。腫瘍の摘出手術に際しては、十分な安全域を設けて切除し、摘出材料の病理学的検査で断端部に腫瘍が残存していないことを確認していても時に、腫瘍の再発がみられることがある。がん抑制遺伝子であるp53は多くの腫瘍でその袈異がみられ、さらに近年、p53類縁がん抑制遺伝子としてp51とp73が発見されファミリーを形成している。最近、p51やp73がp53と多量体を形成するとp53四量体より遥かに高いがん抑制遺伝子としての機能を発現することが示された。今回、腫瘍摘出材料の病理学的には正常と思われる断端部上皮におけるがん抑制遺伝子p53、p51およびp73の変異あるいは欠失の有無を分子病理学的に解析し、そのリスクファクターとしての意義を明らかにし、腫瘍の再発の防止の一助とすることを目的に検索を行った。 11例の口腔扁平上皮がん患者について病理学的検索を行った。免疫染色でp53異常タンパクの蓄積が9例に認められ、変異型p53をゲノムにもつ可能性が示唆された。これらの症例からDNAおよびRNAを抽出し、遺伝子変異について検索したところ、全例でp53の変異が確認された。手術摘出標本の断端部におけるp53の発現を免疫染色で検索したところ、がん部と連続してp53陽性細胞がみられる部分と、p53陰性で正常粘膜と考えられる上皮を介して非連続性にp53陽性細胞が形態的に軽度の細胞異型を示す被覆上皮に認められる症例があり、今後の経過を注意深く観察する必要があるものと思われた。
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