1. 対象 : TINOおよびT2NOの未治療の口腔癌患者14例を対象とした。なお、本研究は、秋田大学医学部倫理委員会の承認を受け、インフォームドコンセントが得られた患者に対して施行した。 2. 治療前評価 : 腫瘍の詳細な評価を行うために、頭頸部のCTおよびMRIの撮影を、また、遠隔転移の評価は、ガリウムシンチグラフィー、胸腹部造影CT、およびPET-CTの撮影を行った。 3. センチネルリンパ節(SLN)の同定 : リンパ管造影CTによるSLNの同定を、手術の前日までに行った。手術開始時に、パテントブルーを腫瘍周囲の粘膜下に注入し、青染したリンパ管およびリンパ節を同定した。青染リンパ節が、リンパ管造影CTで同定したリンパ節と一致するかどうか確認し、リンパ節を摘出した。 4. 病理組織学的観察 : 摘出したリンパ節は、術中迅速病理組織検査に提出し、病理組織学的に転移の有無を診断した。病理組織学的に転移が陽性の場合には、全頸部郭清術を適用し、転移陰性の場合は、腫瘍切除のみを行い、経過観察とした。 5. 結果 : リンパ管造影CTでSLNを同定できたのは、14例中9例であった。舌癌7例中1例に転移陽性が認められたため、頸部郭清を行った。切除標本を検索したところ、SLN以外のリンパ節には転移は認められなかった。他の2例は下顎歯肉癌で、転移は陰性であった。 6. 考察 : 今回は、下顎歯肉癌の症例でもSLNの同定が可能であったが、舌癌のような軟組織に限局して発生した癌のリンパ路が把握しやすく、SLNの同定も比較的容易であることが推察できた。
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