研究概要 |
瘢痕形成に関わっているとされる筋線維芽細胞の特徴として、desmin(-)、vimentin(+)、α-sooth mascle actin(SMA)(+)であると報告されている。これまでにMRC-5と呼ばれる細胞株をTGF-β1にて誘導し、筋線維芽細胞と同様の特徴を示すことを示してきた。 1) 培養上清中のMMP-2/-9量測定 瘢痕形成の主な担い手と考えられる筋線維芽細胞には、MMPがアポトーシスの誘導など抑制的に作用することが知られている、筋線維芽細胞は創傷治癒には必須であるが、必要以上に残存することが瘢痕の一つの要因と考えられる。一部の培養細胞からはMMPを分泌されることが報告されている。したがって、培養細胞を創傷部位に注入することで、筋線維芽細胞へのアポトーシスの誘導などによる瘢痕抑制効果が期待できると考えている。そこで、培養細胞による筋線維芽細胞のアポトーシス誘導の可能性について検討するために、ヒトEPC、 ヒトMSC、ヒト皮膚由来線維芽細胞、ヒト口腔粘膜由来線維芽細胞からのMMPの分泌を測定した。これらの細胞を10%血清入りDMEMにて培養し、コンフルエントとした後、無血清培地に交換し培養を続けた。24,48,72時間後に培養上清を回収し、培地中に分泌されたMMP-2/-9をELISA法にて定量化し比較検討したところ、ヒトMSCからはMMP-2,-9の発現はほとんど認められなかったものの、他の3種類の細胞は1〜10ng/ml/wellの発現を認めた。 2)筋線維芽細胞によるapoptosis評価系の作製さまざまな培養細胞からのMMPの分泌を確認したため、筋線維芽細胞に対する影響を評価するための共培養系の確立を行なった。MRC-5を10%血清入りDMEMにて培養し、さらに同時に対照とする細胞(ヒトEPC、対照細胞ヒトMSC、ヒト皮膚由来線維芽細胞、ヒト口腔粘膜由来線維芽細胞)をそれぞれculture insert上で培養し、共培養が可能であることを確認した。今後MRC-5への影響についての詳細な検討を予定している。
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