研究概要 |
H19年度は、我々が報告した(Ueno, et. al. Annals Plast Surg 54, 2005)術式に基づきSDラット頭蓋骨骨欠損モデルを用いて骨髄移植法による骨形成過程の観察をマイクロCTおよび組織切片観察を行った。 移植術式:7週齢SDラットにネンブタール全身麻酔(30mg/kg)下にラット頭蓋骨に直径7mmトレフィンバーを用いて脳硬膜上にいたる全層骨欠損を作製した。続いて脛骨または顎骨から採取した骨髄をβ-TCP(OSferion^R G1 Olympus社)を混和して移植材料を作製した。骨髄と移植材はGroup1=4:1.Group2=3:1,Group3=2:1,Group4=1:1の比率で混和し、4種類の移植材を作製した骨欠損部に移植し縫合閉鎖した。 骨髄/TCP移植法の評価:移植後15、30、120日目にラットを薬殺し、移植組織片を摘出した。摘出組織をマイクロCTで撮影し、TB/TVを計測した。その結果、全groupで骨欠損部において骨形成が確認された。中でもGroup3の骨形成量が、観察期全期にわたり、最も多かった。ついで、凍結切片作成法で観察切片を作製し検鏡した。β-TCPは骨髄細胞から形成された新生骨により置換される様子が観察された。また新生骨周囲には血管新生、骨芽細胞、骨細胞が活発に観察された。また、Group1においては活発な破骨細胞の増殖が観察された。これは移植された骨髄に含まれる破骨細胞に分化する細胞や血管形成細胞の影響と考えられた。これらの結果から、β-TCPと骨髄の複合移植は高い骨形成能を持つ事が示唆された。骨形成量は骨髄細胞とβ-TCPの比率により変化することが示唆された。
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