研究課題/領域番号 |
19592300
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知大学, 名誉教授 (70031995)
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研究分担者 |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00200824)
植田 栄作 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (10203431)
佐竹 秀太 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10304685)
立石 善久 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (20372732)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / DNA損傷修復 / OGG1 / POLG / Tfam / Rad51 / 17-AAG |
研究概要 |
株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞のγ線に対する感受性を規定する因子、さらにはOSC細胞のγ線感受性を増強する手段を明らかにすべく検討し、以下の結果を得た。 1)γ線照射後の核およびミトコンドリアDNA(mtDNA)における8-OHdGレベル、mtDNAのCommon deletionの発現レベルは、抵抗性株では感受性株に比べいずれも低い。2)ミトコンドリアで働くDNA修復酵素OGG1、POLGやミトコンドリア転写因子Tfamのレベルは抵抗性株では感受性株に比べ1.5〜2倍高値で、POLGおよびTfamの発現にはPI-3K/Akt経路が関与している。3)OGG1、POLGおよびTfamに対するsiRNAにてこれらの発現をノックダウンするとOSC細胞のγ線に対する感受性が増強する。4)OSC細胞のDNA修復関連蛋白の発現を比較検討したところ、Rad51の蛋白の発現とγ線に対する感受性との間に負の相関が認められた。5)核におけるリン酸化ヒストンH2AXレベルおよびコメットアッセイによるDNA2重鎖切断レベルは、抵抗性株では感受性株に比べ早期に低下し、Rad51の発現増強に関わるSTAT5の活性化およびRad51の活性増強に関わるp53あるいはBRCA2との会合は抵抗性株でより強く認められた。6)Hsp90阻害剤17-AAGはcAb1のリン酸化、STAT5のリン酸化、Rad51の発現誘導を抑制し、さらにはRad51の核への移行に重要なRad51とp53あるいはBRCA1/2との会合を抑制した。 以上より、PI-3K/Aktシグナルの抑制あるいはsiRNAによるOGG1、POLG、Tfam、Rad51の発現抑制、さらには17-AAGの併用によりOSC細胞のγ線に対する感受性が増強することが明らかとなり、臨床応用への可能性が示唆された。
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