研究概要 |
歯科治療がストレッサーとして生体に受容される過程を形成する高次脳機能と、鎮静薬として臨床応用が始まっているα2受容体作動薬デクスメデトミジンの高次脳機能作用を神経ネットワークの観点から検討した.研究対象とする神経ネットワークは、1.ストレッサーを認識・認知するネットワーク、2.不安や恐怖などの情動の発現に関係するネットワークとした。 研究手法として神経科学的研究手法であるマイクロダイアリシス(微小透析法)用いて、ネットワークを構成する神経系の神経活動に伴って神経シナプス間隙に放出される神経伝達物質量の変動を観察した.ストレスのない無麻酔・無拘束・自由行動状態と,ストレッサーを負荷したストレス状態両方の状態で,これらの薬物を投与した際の,上記の神経ネットワークへの作用を観察した結果、ストレス負荷により、青班核、大脳皮質前頭前野ノルアドレナリン、ドーパミン神経活動が亢進し、デクスメデトミジンは、これらの神経活動をいずれも抑制した。 さらに、デクスメデトミジンを青斑核,もしくは大脳皮質前頭前野にストレスを負荷していない状態で直接灌流投与した場合には,青班核、大脳皮質前頭前野ともにノルアドレナリン神経活動が更新するという興味深い結果を得ることができた.
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