研究課題
hCAP18/LL-37による健常細胞と癌細胞の選択的効果の解析健常上皮細胞と癌細胞におけるhCAP18/LL-37合成27残基ペプチドによる細胞効果の違いを、細胞内Ca^<2+>反応を中心に検討した。Ca^<2+>共存または非依存下でのペプチド処理を行った際の両細胞間での反応性の違いをFura-2AMでラベルした細胞を用い,Arugus HSCA蛍光イメージング装置により観察した。その結果、扁平上皮癌細胞SAS-H1とヒト2倍体上皮細胞HaCaTは、ともに細胞内Ca^<2+>ストアである小胞体からCa^<2+>放出がみちれた。しかし、SAS-H1細胞ではペプチドによる細胞膜ポア形成がみられたが、HaCaT細胞ではポア形成をみる細胞は少数に過ぎなかった。SAS-H1細胞ではthapsigarginで小胞体Ca^<2+>ストアを枯渇しても細胞膜ポア形成は抑制できなかった。従って、細胞膜ポア形成能と小胞体からのCa^<2+>放出は同時並行的に起きており、両者は関連しないことが示唆された。そこで、ペプチド処理によるネクローシスの可能性を検討したところ、Ca^<2+>非依存化での処理で細胞膜ポアを形成して、ネクローシスを来すことが示された。このことから、hCAP18/LL-37合成27残基ペプチドがアポトーシスとともにネクローシスの誘導を行い、抗腫瘍効果の増強に寄与することが推測された。抗菌ペプチドによる核内シグナル促進機構の解明ヒト樹状細胞および扁平上皮癌細胞SAS-H1と2倍体上皮細胞HaCaTにおけるhCAP18/LL-37合成27残基ペプチドの核内蛋白への移行を検討した。その結果、核分画で蛍光ラベルを行ったペプチドが移行することが樹状細胞で確認されたが、SAS-H1とHaCaT細胞では認めることができなかった。一方、hCAP18/LL-37による転写因子としてNFκ-Bの制御についてCATレポーターアッセイによる転写活性を検討しが、転写活性の増強はみられなかった。このことから、本ペプチドによる未知の転写因子の可能性を含めて検討することが必要とされた。
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J.Dent.Res.Science. (In press)
Exp.Appl.Acrol. 49
ページ: 221-228