研究概要 |
平成19年度で各FGFに対する抗体を用いラット顎下腺再生過程における免疫組織学的検索を網羅的に行った結果、FGF-1,2,8,10に関して陽性反応が認められた。平成20年度は、ラット顎下腺萎縮・再生過程において、これら4種類のFGFの局在を詳細に解析した。 (1)FGF-1は正常顎下腺には認められず、萎縮過程の排出導管の基底部細胞において強く発現していた。また、再生過程においては、その発現は認められなかった。 (2)FGF-2は正常細胞および萎縮過程においては、間葉系の細胞に弱く発現していた。再生過程においては3日目に間葉系の細胞に最も強く発現し、その後再生が進むに従って徐々に陽性反応が消退していった。 (3)正常顎下腺で介在部導管に局在していたFGF-8は、萎縮過程で導管様構造に、その後の再生過程でもその導管様構造に局在し、再生14日目には正常組織同様の介在部導管に局在していた。 (4)FGF-10の局在はFGF-2とほぼ同様の時空的局在を示していた。 以上のことより、FGF-1は排出導管の基底細胞の萎縮に関与しており、FGF-2と10は萎縮過程より再生過程に関与していおり、FGF-8は萎縮・再生過程共に関与していることが判明した。顎下腺発生過程でのFGFの関与は色々な報告があるが、再生過程におけるFGFの関与を報告した報告は、ほんのわずかであり、今回の研究でFGFの再生過程における役割の解明の端緒になると考えている。
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