研究概要 |
1.臨床的・基礎的研究 顎関節症患者の関節内組織を採取して破骨細胞分化因子(RANKL)・抑制因子(OPG)の発現・局在部位を光学的免疫組織化学的手法で証明し、関節鏡視での臨床所見と比較検討し、病態の重症度との検討を行った。結果は・RANKL、OPGは血管内皮細胞,滑膜細胞,線維芽細胞に局在していたが、PANKL陽性率と退行変性の程度との間に相関は認めず、OPG陽性率と退行変性の程度との間に相関を認めたことから、滑膜組織におけるRANKLの発現は破骨細胞の分化の供給源となる可能性を示唆する一方で、退行変性はOPGの発現に影響されるのではないかと推察された。 2.臨床的研究 『顎関節症の簡易滑液検査-尿検査試験紙を用いた予備的検討-』顎関節症132関節、健常者10関節の滑液を回収し、尿検査試験紙を用い、蛋白を尿自動分析器で比色測定を行った。また蛋白濃の定量測定と希釈率補正のための蛋白/クレアチニン比も測定し検討した。 結果は試験紙と定量した蛋白の間に正の相関があった(r=0.61,p<0.0001)。蛋白/クレアチニン比はクレアチニン1mgあたりの蛋白量が健常者群で平均1.5g、患者群では7gと有意に上昇していた。これらから試験紙が滑液検査に応用できる可能性が示唆された。また希釈率の補正としてクレアチニン測定が有用となる可能性も示唆された。 3.基礎的研究 各濃度の外因性エストロゲンを妊娠マウスに経口投与し、出生仔での全身ならびに顎関節の成長発育への影響をみた実験を遂行中である。エストロゲン濃度により出生仔の身長・体重並びに行動異常などの全身状態への影響が伺われた。H20.3末で全身固定中であり今後は顎関節への影響を見る予定である。
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