研究概要 |
痛みを抑制するためには何が有効かを調べるために、動物とヒトを用いて実験を行った。 1.動物実験では、痛みの伝達経路の一部である扁桃体に注目して尾部に機械的刺激を90秒間に2秒つつ与えたときの帯状回からの反応を電気生理学的に調べ、それをもとに扁桃体を2μA,100Hzで15秒間の電気刺激を与えた時の痛みに対する帯状回からの反応の変化を比較した。その結果、帯状回からの痛み刺激に対する反応は、扁桃体の刺激により約90分間は抑制されることがわかり、昨年度からこの結果は同じである。しかし、なぜ抑制されるかは今後、扁桃体からの神経線維の伝達経路や、伝達物質の同定をしていきながら、明らかにしていきたい。 2.ヒトを対象にした実験では、磁気共鳴機能画像(fMRI)を用いて被検者の足に痛みを与えたときの帯状回の活動を確認した。痛み刺激は人為的に剣山を用いて、それを5秒間に1回づつ5回押し当てるという方法をとり、i)痛みを感じたら噛み締める、ii),バイトプレートを咬んでいるときに痛み刺激を与える、などの条件を組み、てれぞれの条件のときの帯状回の活動変化を比較した。その結果、ヒトにより個人差は見受けられるが、痛み刺激を加えただけの時よりも、条件i)ii)のとさのはりか、帯状国の活動が弱まっている傾向がみられた。 以上のように動物実験やヒトの実験において、扁桃体を刺激することにより、帯状回の活動が抑制されることが明らかとなった。
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