研究概要 |
口腔扁平上皮癌16症例の手術時に、原発巣と頸部リンパ節転移巣より同時に得た32対の凍結組織材料よりDNAを抽出し、精製DNAをハンガリー共和国デブレツェン大学医学部予防疫学教室(海外協力者:Margit BALAZS教授、Roza ADANY教授)に空輸し、蛍光標識した微細断片化DNAを作製。これを米国NCI,Comprehensive Cancer Center, Microarray Coreに空輸し、Microaray CGH解析を外注した。本解析により、1p11-12,1p31,2q24.3,2q32.3,3q21-28,6p12,7p12-13,7p21.1b,7q21.11d,8q11.2,8q12,8q23-24.1,9q22,12q14-21.1,21q21,の増幅、1q25,2q37.2,4q22,4q27-28,4q32,9p24の減少など原発巣では認められない転移巣に特有と思われる変異(この部分にリンパ節転移に関わる遺伝子が含まれていると考えられる)が明らかとなり、特に3q21-28の増加は複数例に共通して認められた。さらに中間期FISH法による解析では、これらの増/減領域に関して、それぞれtrisomic/monosomic cellの増加が認められた。2007、2008年度は、予算の関係からMicroarray CGH解析は、8検体(4対)、12検体(6対)のみ行ったが、残り24検体(12対)のDNAについても、既にMicroarray Core(米国NCI, CCC)に空輸済みであり、2009年度早々にmicroarray CGH解析が可能な状況となっている。 本研究の特徴は、手術時に原発巣と転移巣より同時に得られたDNAを用いて、複合的、網羅的な遺伝子・染色体異常の解析を行う点にあり、今後は、さらに中間期FISH法、modified CGH法にて解析を進め、Microarray CGH法による解析結果との比較を行うとともに、リンパ節転移に関わる遺伝子・染色体異常を解明していく予定である。
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