本研究では、顎口腔機能時(咀瞬時)の咬合干渉による歯根膜の圧受容器からの刺激(顎口腔系への機械的刺激)が自律神経の活動に及ぼす影響、およびその後の自律神経系の活動が逆に咀噛筋活動や筋の血液動態に及ぼす影響について、生理学的、運動制御学的に検討することを目的として行われた。 平成20年度は、10名の正常咬合を有する成人女性について、習慣性咀噛側でガム咀囑運動を行わせ、非観血式連続血圧測定装置、心電計、レーザー血流計、筋電計を用いて、血圧、心電図、皮膚血流、閉口筋筋電図などを同時に測定し、予備実験(平成19年度実施)の結果に基いて考案した解析方法により、咬合干渉を装着した時としない時で血流動体を比較した。 急性あるいは亜急性に咬合に変化が生じた後に咀喀運動を行った場合に起こった咬筋の血液動態の変化としては、還元ヘモグロビン濃度が上昇し、酸化ヘモグロビン濃度が減少することが明らかとなった。以上より、咀囎時の咬合干渉によって閉口筋の酸素消費量が増加することが明らかとなった。
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