研究課題/領域番号 |
19592364
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
磯貝 恵美子 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (80113570)
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研究分担者 |
小林 美智代 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80316265)
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
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キーワード | オステオプロテゲリン / マトリックス / 血管内皮細胞 / 伸展刺激 / TNFα |
研究概要 |
【目的】矯正力により歯を移動させる際に、歯根膜に豊富に存在する微小血管は骨や歯根膜のリモデリングに重要な役割を果たす。しかし、機械的な刺激に対する血管内皮細胞の挙動は、今まだ不明な点が多い。我々は破骨細胞活性化抑制因子osteoprotegerin(OPG)が歯の移動に伴う血管新生にも重要な役割を果たしているのではないかと考え、OPGの血管内皮細胞に及ぼす作用と伸展刺激に伴うOPGの発現動態について検討を行った。【方法】ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)をプラスティック(PL)またはフィブロネクチン(FN)、ビトロネクチン(VN)およびラミニン(LA)でコーティングしたプレート上にて24時間培養し、培養上清中のOPG濃度を測定した。次にHMVECをVNあるいはFN上で培養し、炎症性サイトカインであるTNFαを2ng/mlの濃度で添加し120%の持続伸展刺激を24時間かけ、培養上清中のOPGの濃度をELISAにて測定した。【結果】FN、VN上で培養されたHMVECの培養上清中のOPG濃度はPLまたはLA上で培養されたHMVECの培養上清中のOPG濃度より有意に高いことが示された。しかし、TNFα刺激下、伸展刺激による培養上清中のOPG産生量の変化はいずれのマトリックス上でも認められなかった。また、OPGの添加により、血管内皮細の著しい伸展や微小管の伸長が蛍光顕微鏡下で観察された。【結論】今回の結果から、血管内皮細胞に対する機械的刺激によるOPGの産生の変化は認められなかった。しかし、歯の機械的刺激に伴い歯肉溝浸出液中のOPG濃度が変化することが知られており、機械的刺激による歯肉溝浸出液中のOPG濃度の変化に応じてOPGが歯根膜中の血管の再構築などに作用している可能性は充分考えられる。今後、それらの関連性について検討を進めていく予定である。
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