咬耗の発症要因は解明されておらず、本研究の基となった研究において、近交系マウス間で咬耗感受性が大きく異なることを改めて確認できた。環境要因を単純で単一化する目的で種々の形質の飼料を摂取させたところ、粉状高脂肪食が咬耗を誘発するのに適したマウス食であることを再度確認した。その上に則って実験系を組むことの理論構築が得られた。 咬耗高感受性マウスであるC57BL/6系統と咬耗低感受性マウスであるC3H系統の両系統において全染色体上にある遺伝子マーカー(マイクロサテライトマーカーならびにSNP)の多型の有効性を網羅的に検索し、各染色体上で5個のマーカーが得られた。今後、分析可能なマーカー数を増やす。また、連鎖解析においては、咬耗の軽度から重度なF2マウスが多数必要である。しかし、咬耗の程度を実態顕微鏡で数値化するには、長期飼育マウスが適しているが、飼育日数が増加することは、実験期間が長くなることから有効な飼育環境としては、粉状の高脂肪食を5か月間飼育することで、識別できることを明らかにした。また、咬耗の成り立ちを知る目的でRigaku社製動物用マイクロCTを用いても検討を加えて行く予定であるため、動物用マイクロCT機種に精通するために顎骨ならびに経時的な明瞭な生体観察像を得ることに専念している。現在、各染色体上において30cM以上離れているマイクロサテライトマーカーを用いてrough mappingを試みており候補染色体が明らかになり次第、detail mappingを行う。
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