予備実験において20週齢成熟(アダルト)ラットと6週齢幼若(ヤング)ラットの脛骨に太さ1.4mm、長さ4mmのチタン製ミニスクリューを今までの研究と同様の方法で移入する実験を行った。スクリュー埋入直後からニッケルチタンコイルスプリングを用い、スクリューに200gの荷重を加え2週間牽引した。牽引後ラット麻酔下でペリオテストを用い埋入したスクリューの動揺度を測定した。アダルト群の動揺度は平均6.4で、ヤング群では15.1であり、アダルト群に比ベヤング群では顕著に動揺が大きく、若年者にスクリューを埋入して固定源として用いた時に、成人に比べ動揺し脱落しやすい臨床所見と一致していた。 一方、スクリューを埋入した標本をRNAase freeで脱灰、包埋し、厚さ20μmの凍結切片を作製した。約20枚の切片からLaser Capture Microdissection法を用いて、スクリュー周囲の組織を切り取りRNAの抽出を行なった。このRNAを用いreal time PCR法により骨形成に関連する数種の遺伝子の検出が可能であった。現在RNAの増幅法を検討している。 今後はヤング群の埋入したスクリュー周囲に、低出力半導体レーザーを数種の条件で照射し、2週後にスクリューの揺度を測定すると共に、各種遺伝子発現の変化を検討することで、レーザー照射のスクリュー安定性に関する効果を検討する予定である。
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