有限要素法実験では、埋入ミニスクリュー(MS)が隣接歯根に近接したモデルほど埋入部歯槽骨の応力が大きく、MSを歯槽骨中央に埋入時し、歯槽骨応力の偏在を軽減することが脱落防止に有効であることがわかった。また、MSをブタ肋骨面に対し垂直埋入(0°)、20-60°で傾斜埋入後、引き抜き試験を行ったところ、垂直埋入より20°以上の傾斜埋入が有意に大きく、初期安定性を向上することが示唆された。 動物実験では、20週齢のラット頚骨に直径0.8-1.1mmの骨孔を形成後、直径1.4mmのMSを埋入し、3週間荷重後MS一骨接触率と、MS動揺度を計測した。骨接触率は0.9、1.0mmが他の群に比べ有意に大きく1.1mmが最も小さかった。動揺度は埋入直後では全群で大きかったが、3週間荷重後では、0.9、1.0mmが1/3に、0.8mmでは1/2に減少したが、1.1mmでは減少しなかった。よって、MS直径の80%の骨孔が安定を得やすく、埋入直後と3週後のMS動揺度を比較することで、MS安定の予後を評価できることが示唆された。一方、6週(Y)および20週齢(0)ラット頚骨にMSを埋入後、直ちに荷重を加えた(即時牽)群と、6週間の治癒を待って荷重した(治癒後)群の、MS動揺度を測定した。即時群では、0群に比べY群は約2倍有意に動揺度が大きかったが、Y群でもMS埋入後、6週間後に荷重することで、即時群に比べ動揺度は1/3と有意に減少した。しかし、0群では即時、6週間治癒後群でも動揺度に差はなかった。このことから、MS埋入時、0症例では即時荷重が可能であるが、Y症例では、一定期間の治癒後に荷重することで、強固な固定源を得られることが示唆された。 また、6週齢ラット両側頚骨にMSを埋入直後、一側のスクリュー周囲に3分間(23.8J)低出力半導体レーザー照射を行い、上記実験に従い動揺度を測定すると共に、48時間後に屠殺し、ミニスクリュー埋入部周囲骨をドリルにて採取し、骨形成関連遺伝子およびタンパク発現の検討を行っているが、採取量が微量なため、詳細な解析はできていない。
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