研究概要 |
本研究の目的として、BMP(骨形成因子)を生体吸収性移植材料からなるオンプラント、インプラントの植立体表面に複合化することにより,歯科矯正治療専用の新しいオンプラント、インプラントの開発を目的とした。また、矯正歯科臨床において、植立技術のみならず、矯正歯科治療のフォースシステムを含めた矯正治療への応用方法を確立することも本研究の目的とした。これら一連の研究により、骨表面の自由な部位に短期間で強固な骨性結合が得られ、また、植立後直ちに矯正歯科治療の固定源として応用可能であり、矯正歯科治療後は生体内で吸収され、撤去手術の必要がない新しい矯正用インプラントが開発されることになる。これによって、患者への侵襲がきわめて軽度な歯科矯正治療専用の新しいオンプラント、インプラントを用いた矯正歯科治療システムの構築が可能となる。 本年度の研究報告として、骨内で吸収されるマテリアルの検索を行った。現在までのところ生体内吸収性高分子のうち、分子量200,000のポリ乳酸が経時的生体内強度の点から最も有効であることが示唆された。また、オンプラントの形状を研究するために、ボタン型チタンオンプラントを用い、ウサギ大腿骨骨膜下へ埋入し、その骨との結合力を測定した。その結果、ボタン型チタンオンプラントは埋入あと1ケ月で矯正力に耐えうる十分な機械的強度を獲得していた。BMPについては豚および牛由来の粗精製の活性試験を行っている。 さらに臨床応用を前提とした固定源としての応用技術である人への応用のための植立部位の検索をコーンビームCTを用いて行っている。また、安全で確実なオンプラント、インプラント植立のための植立手技の確立を行った。 これらの実績をふまえ、次年度にはポリ乳酸を用いたボタン型オンプラントの開発とBMPとの複合化を目標とし、また、生体における最適な植立部位の確立ならびに矯正治療への応用時のフォースシステムの確立を、臨床応用を前提に行っていく予定である。
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