研究概要 |
本研究の目的として、BMP(骨形成因子)を生体吸収性移植材料からなるオンプラント、インプラントの植立体表面に複合化することにより,歯科矯正治療専用の新しいオンプラント、インプラントの開発を目的とした。また、矯正歯科臨床において、植立技術のみならず、矯正歯科治療のフォースシステムを含めた矯正治療への応用方法を確立することも本研究の目的とした。 昨年度までの研究結果として、骨内で吸収されるマテリアルの検索を行ってきたところ、より早期にオンプラントマテリアルと骨との勘合、接触が必要であるということが示唆された。そこで早期骨形成のための表面処理(ハイドロキシアパタイト,アルファTCP等のコーティング)についての検索を行った。現在までのところアルファTCPをコーティングしたオンプラントが最も短時間で旺盛な骨伝導能を示しており、吸収性オンプラントの表面コーティング材として最も有効であることが示唆された。また、オンプラントを骨表面に設置するためには、その前提として十分な骨の存在、修復がされている必要がある。そこで我々は骨修復材の検討を行った。矯正治療の際抜歯される歯を脱灰した脱灰歯牙基質(DDM)に注目し、骨補填材として有用か検討した。ウサギ膝関節頭部に形成した欠損に埋入し、その骨、軟骨修復能を測定した。その結果、DDMはきわめて十分な骨軟骨再生能力を有しており、オンプラント前処置の骨生成、骨修復に有用であることが示唆された。 さらに臨床応用を前提とした固定源としての応用技術である人への応用のための植立部位の検索をコーンビームCTを用いて行った。これらの結果より、人上顎骨において、正中口蓋縫合部で上顎第一大臼歯と第二第臼歯間が最も骨のボリュームがあり、オンプラント、インプラントの設置に有効であることが示唆された。
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