研究概要 |
本研究では、歯周病の感受性に関与するリスク Fc レセプター遺伝子の特定と同遺伝子情報の発現制御メカニズムを解析することを目的として、機能解析およびプロテオーム解析を実施した。 1 Fc レセプターリスク遺伝子と機能解析: インフォームド・コンセントが得られた関節リウマチを伴う歯周病患者137名を対象に遺伝子多型解析および血清サイトカイン濃度測定を行った。その結果、Fcレセプター遺伝子(IIA, IIB, IIIA)は疾患感受性に関与しなかったものの、インターロイキン1-B(IL-1B) +3954 T アリル保有者は、血清腫瘍壊死因子(TNF-a)濃度が非保有者と比べて5倍以上高く、同疾患感受性に有意に関与することが認められた。 2 プロテオーム解析: インフォームド・コンセントが得られた健常者6名の好中球を分離した後、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalis外膜に対するヒト抗体での刺激時に誘導されるタンパク、およびFcレセプターIIIb遺伝子型(NA1, NA2)の違いによるタンパクを同定するために、二次元電気泳動を行なった。画像解析ソフトによる定量比較でスポット容積が2倍以上異なるものが、ヒト抗体刺激では4スポット、遺伝子型では3スポットが検出された。同スポットを回収後に、トリプシン処理し、MS/MSイオンサーチ分析法による質量分析を行なった。データベースから、ヒト抗体刺激では、カルシウム結合タンパク、熱ショックタンパクなどが同定され、一方、FcレセプターIIIb遺伝子型では、ラクトフェリン、脱イミノ化活性タンパクなどが同定された。
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