研究概要 |
平成20年度の研究課題に関する研究実績は以下のとおりである。 1)非翻訳RNA遺伝子検索のための標的微生物種の再検討 Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)のゲノム上に大腸菌のhfqとrsmA様遺伝子を同定した。また、これまではグラム陰性嫌気性菌を主体とした真性細菌のみが歯周病の原因微生物と考えられていたが、古細菌も歯周病の病原菌である可能性を示唆する結果を得たため、今後のncRNA解析の標的とする必要性が示された。 2)hfq-ならびにrsm様遺伝子欠損株の作製と蛋白質発現プロファイルの解析 相同性組み換え法によってAa(ATCC29523)染色体遺伝子中のhfqならびにrsm様遺伝子にスペクチノマイシン耐性カセットを挿入して両遺伝子の欠損株を作成した。両欠損株ならびに親株であるATCC29523株の菌体を2次元電気泳動によって分離し,蛋白質の発現パターンを比較した。総蛋白量に占める割合が0.3%以上の蛋白質スポットを対象とし,親株と比較して発現量が2倍以上,あるいは2分の1以下になっているスポットを検索した結果,hfq様遺伝子欠損株では8つのスポット(2倍以上=6スポット,1/2以下=2スポット)を,そしてrsm様遺伝子欠損株では5つのスポット(2倍以上=5スポット)を抽出することができた。 3)small RNAならびにRNAシャペロンによって発現制御を受けている蛋白質の同定 親株と比較してhfqならびにrsm欠損株で発現量に差のある蛋白質を、スポット解析によって同定した。その結果、asparate aminotransferaeならびに5-methyltetrahydropteroyltriglutamatehomocysteine methyltransferaseがsmall RNAによる発現調節を受けている可能性が示唆された。
|