研究課題/領域番号 |
19592389
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 宜興 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60159100)
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研究分担者 |
吉村 篤利 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70253680)
金子 高士 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10284697)
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キーワード | 骨吸収 / 免疫系細胞 / 感作 / リポ多糖(LPS) |
研究概要 |
T細胞およびB細胞の存在しないSCID群、無処置の野生型マウスの脾臓からT細胞を採取して歯肉に注入する群(以下N-SCID群)、および野生型マウス歯肉にE.coliのLPSを13回注入して感作したマウスの脾臓から分離したT細胞をIL-2とPHAで刺激し注入する群(以下L-SCID群)の3群を作製した。SCID群にはマウスの左側第一臼歯近心歯肉に5μg/3μLのLPSを48時間ごとに4回投与し、24時間後に屠殺して左側顎骨を採取した。N-SCID群とL-SCID群には、それぞれ無処置マウスのT細胞、またはLPSで感作されたマウスのT細胞を4回目のLPSと同時に注入し、24時間後に左側顎骨を採取した。採取した顎骨は固定、脱灰、パラフィン包埋して連続切片を作製し、10枚ごとにHE染色、酒石酸耐性酸フォスファターゼ(以下TRAP)染色、CD3、interferon-γ、RANKL免疫染色を行った。骨吸収度の測定は、TRAP陽性多核細胞が接触している骨表面を活性吸収面(ARS)と定義し、マイクロメーターのラインと骨の交差点の数を計測し、総交差点に対するARSの比率を算出した。 その結果SCID群では炎症性細胞の浸潤は弱く、骨面はなだらかでほとんど吸収面を認めなかった。N-SCID群ではやや強い炎症性細胞の浸潤とわずかな骨の粗造感を認めた。L-SCID群ではやや強い炎症性細胞の浸潤と、吸収窩が見られた。またCD3陽性細胞はSCID群では観察されなかった。 以上の結果から、感作された個体のT細胞は骨吸収局所において、その促進作用を発揮していることが明らかとなった。
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