歯周病と内臓脂肪および脂肪肝との関係を明らかにするのが目的である。そのために歯周病治療前後で腹部CT撮影を行い、歯周病治療により歯周病が改善した場合、内臓脂肪面積または肝臓のCT値が変化するのかを検討する。また腹部CT撮影と同時に空腹時採血を施行し、肝機能、内臓脂肪産生のアディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン)、酸化ストレスマーカー(過酸化脂質)を測定し、歯周病と内臓脂肪および脂肪肝との関係を血液生化学的に解析する。 平成19年度より歯周病基本治療を開始した27名を登録した。27名の治療前の内臓脂肪面積は、BMI、ウェスト周囲径、血圧と正の相関を認め、血中ALT、γGTP、尿酸、中性脂肪、HbA1c、インスリン抵抗性(HOMA index)と正の相関、HDLコレステロールと負の相関を認めた。歯周病基本治療を完了した22名のうち、脂質異常症の治療を開始した1名、肝疾患治療を開始した2名、内科での再検査を拒否した4名を除外した15名を解析した。内臓脂肪面積は、治療前93.5±48.4(平均値標±準偏差)cm^2、治療後94.4±55.1cm^2と有意な変化はなかった。また各血液検査項目(肝機能、血糖、脂質、炎症、アディポネクチン、レプチン、酸化ストレスマーカーを含む)も歯周病治療の前後で変化しなかった。 結果として、今回の検討では歯周病治療による内臓脂肪への有意な影響はみられなかった。
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