研究課題
歯周病原菌であるP.gingivalisは、線毛(FimA)の型によりI~V型に分類されている。日本人の進行性歯周炎患者のほとんどに存在しているP.gingivalisは、II型P.gingivalisであることから、II型P.gingivalis(TDC60)のゲノムプロジェクトに着手した。得られたゲノム情報と、ゲノム解析の終了しているW83 P.gingivalis(IV型、米国TIGR)、ATCC33277 P.gingivalis(I型、長崎大学)のゲノム情報を比較することによって、II型P.gingivalisの病原性因子を探索した。TDC60株には、他のP.gingivalis (W83, ATCC33277)には存在せず、むしろ他の菌種に対するホモロジーが30~50%の遺伝子が多く存在することを見いだしている。また、昨年度作製した網羅的モノクローナル抗体がTDC60に対して特異的に認識する分子の解明を試みた結果、P.gingivalis各株で患者血清が強く認識し、過去、immunoantigenと総称され(菌株によって分子量は異なる)、マイナー線毛とも呼ばれる分子であることが判明した。本分子は抗原性が高い原因として、TDC60では、線毛として決してマイナーでも無く、長い線毛であることによる可能性が示唆された。一方、従来から本研究室で機能解明を試みているHBP35分子の欠損株のアレイ解析から、本分子の欠損株にはレドックスに関連した遺伝子の変動が見られることから、嫌気性菌の酸素抵抗性に何らかの変動が起きている事が示唆された。本分子がチオレドキシンとしての機能分子であることを本年度に報告している。
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Molecular Medicine Reports 2
ページ: 359-363
Hybridoma(Larchmt) 28
ページ: 431-434