研究概要 |
研究課題を研究計画にしたがい、臨床研究と基礎研究を行った.臨床研究として病態の異なる慢性歯周炎患者と侵襲性歯周炎患者より歯肉溝浸出液(GCF)を採取し,インターロイキンー1β(IL-1β)と可溶性IL-1タイプ2レセプター(type II R)をELISA法にて測定したところ,IL-1βの検出率ならびにその濃度は両群間においてほぼ同程度であったのに対し,可溶性IL-ltype II Rは侵襲性歯周炎患者の方が理由はまだわからないが,検出されにくい場合が多かった.しかし検出された被験歯でのIL-1type II R濃度は両疾患群でほぼ同程度であった.さらに健常被験者と侵襲性歯周炎患者より、ゲノムDNAを採取し、IL-ltype II R遺伝子を候補遺伝子としてその遺伝子多型と歯周炎との関連解析を進めたところ,歯周病という罹患率の高い疾患としては妥当なアリル頻度を有する3つの遺伝子多型を発見し,さらに統計学的に有意なハプロタイプ見いだすことができ,現在投稿準備中である.次に臨床研究での現象についてマウス歯肉上皮細胞を用いて、遺伝子とタンパクレベルでの解析を進めたところ、IL-4とIL-13によって歯肉上皮細胞から産生されるIL-ltype II Rは増加し、IFN-γによって産生が減少することが明らかとなった.この結果についても現在投稿準備中である.歯周病関連細菌による歯周病モデルは今回の研究期間内には確立することはできなかったが、研究期間終了後も引き続き研究を継続し、実験系が確立後にIL-ltype II Rの実験的歯周炎に対する影響を形態学的に免疫組織学ならびに画像解析による定量により評価したいと考えている.計画した実験をすべて完了させられなかったが、これまでに明らかになったことから、IL-ltype II Rは歯周炎の進行に対し防御的に働いていることが示唆された.
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