研究概要 |
平成21年度も引き続き、模擬患者養成講座をした。受講者は7名であり、そのうち全プログラムを終了したのは6名であった。6名の講座前半の応答の正確性とフィードバックの適切性はそれぞれ78.7%と77.8%であり、講座終了後は82.4%と87.5%であった。また、既存の模擬患者の応答の正確性とフィードバックの適切性を評価するために、5つの模擬患者団体からの計35名を対象とし、5名の歯科医師もしくは歯科学生が歯科医師役となり,初診時医療面接を実施した。既存の模擬患者の応答の正確性とフィードバックの適切性はそれぞれ、88.5%と81.7%であった。 シミュレーション教育に必要な物的資源である、(1)健康調査票,(2)模擬患者役のシナリオ,(3)歯科医師役のシナリオ(場面設定の説明),(4)シナリオの解説(ねらい),(5)患者の口腔内状態(歯式,口腔内写真,エックス線写真),(6)所見,診断,処置方針,(7)診療情報提供書,の7つの教育資源の収集と開発を推し進めた。データベースのソフト作成にはFileMaker Pro10(FileMaker社,California, USA)をベースとして使用し、ソフトの改良を実施した。改良したソフトの有用性を検討するために、医療面接や対人コミュニケーション教育に携わっている教員6名に開発されたソフトを使用してもらった後、対象者の意見を質問紙にて調査した。その結果、対象者すべてがこのソフトが模擬患者参加型実習を実施する際に役に立つと感じていた。また、自由記述式の回答からは,目的に応じてこのソフトを利用できること,独自のシナリオを作成する際の参考になるなどの肯定的意見がみられた。一方,Webベースでの使用実現,主訴での検索機能,写真などの拡大機能の付加などの改善点が指摘された。また,各教員が新しいシナリオを作成できることを目的とした,視覚素材を収録した素材集などのセクション作成の提案も挙げられていた。
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