歯周疾患の感受性を左右するものとして、口腔粘膜における自然免疫が注目されるようになってきた。 口腔の自然免疫の機能を掌る物質のひとつとして、カテリシジンファミリーの抗菌ペプチドであるCAP18/LL37がある。よって、このCAP18/LL37がヒトの自然免疫系における口腔感染防御機構に強く関与していることが示唆されている。そこで今回、ヒト口腔上皮系細胞を用い検討を行った。その結果、平成20年度において、脂溶性ビタミンの一種であるレチノール(トランス)が強力なインデューサーであることを見い出した。また、今回用いたヒト歯肉上皮細胞にはレチノールの受容体であるRARとRXRが常時強く発現していることを見い出している。このことは、口腔上皮がレチノールに対する高い応答性を持つ可能性を示唆するものであり、口腔の自然免疫とビタミンとの関連を考察する緒となるとともに、近年注目されている食育と口腔保健との密接な関連を提示する根拠となるものとして興味ある。
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