研究課題/領域番号 |
19592419
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
王 宝禮 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
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研究分担者 |
今村 泰弘 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
荒 敏昭 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (90387423)
藤垣 佳久 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80367523)
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キーワード | 歯周病 / LPS / PGE_2 / COX-2 / 小柴胡湯 / 抗炎症作用 |
研究概要 |
歯周病は歯周病関連細菌の菌体成分刺激によりヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)などが炎症性サイトカイン、プロスタグランジン(PG)E_2などを産生することによって生じる慢性炎症性疾患である。一般的に歯周病治療は歯石・プラークの除去を行うが、炎症症状が著しい場合には抗炎症薬を投与することがある。しかし、一般的に使用されている抗炎症薬は胃腸障害などの副作用を示すことが知られている。我々は抗炎症作用を示す漢方薬として小柴胡湯を候補とし、これによるHGFsの炎症性物質産生抑制を検討した。 埋伏智歯抜去時の遊離歯肉片から分離したHGFsを10ng/mlのPorphyromonas gingivalis由来LPSで24時間刺激し、培養上清中に産生されたIL-6、IL-8、PGE_2量を測定した。また、この系に小柴胡湯を0.1、0.3、1ng/mlの濃度で同時添加することにより小柴胡湯の作用を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)小柴胡湯はLPS刺激によるIL-6、IL-8産生量に影響を与えなかったが、PGE_2産生量を濃度依存的に減少した。また、基底レベルのPGE_2産生量に影響を与えなかった。(2)小柴胡湯はLPS刺激によるCOX-2の発現量を濃度依存的に低下させた。(3)無細胞系実験において、小柴胡湯はCOX-1の活性に影響を与えなかったが、COX-2の活性を濃度依存的に抑制した。 以上の結果から、小柴胡湯はHGFsのCOX-2発現及び活性の両方を抑制することによりPGE_2の産生を抑制し、抗炎症作用を示すことが示唆された。また、COX-2を選択的に阻害するため胃腸障害が生じる危険性が少ないことが示唆された。 現在、他の候補として半夏瀉心湯、黄連湯、黄連解毒湯について実験を行っており、いずれの漢方薬もHGFsから産生されるPGE_2量を低下させるという結果が得られている。
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