研究概要 |
高齢社会において健やかな老後を実現するために,虚血性心疾患や脳血管障害の原因となる動脈硬化症と,歯の喪失の原因となる歯周炎を予防して,全身ならびに口腔のQOLを維持することは重要である.そこで,これら両疾患の関連を明らかにすることで双方の早期発見と治療に結びつけるための研究を開始した. 研究を実施するにあたり,あらかじめ大阪歯科大学医の倫理委員会の承諾を得た上で,平成19年7月の大阪歯科大学教職員定期健康診断に際して,健診での身体測定値ならびに検査データと歯周状態との関連を検討することについて,40歳以上の受診者に同意を求めた. 同意が得られた対象者について,口腔内6ケ所で測定したCPI (community periodontal index)の最大値(CPI max)によって評価した歯周状態と,健診の際に測定された検査データや身体測定値を入力した. 初年度に得られた結果を検討した範囲では,本学教職員においては男性に比較して女性の歯周状態が良好であることと,40代と50歳以上の者に分けて比較すると男女とも加齢にともなって歯周炎に罹患している者が増えていることなどが判明している. 今後,健診の際の血清を用いて生活習慣病との関連が知られているアディポネクチンの総量とその分画を,ヒト多量体アディポネクチン分別測定キットで測定すると同時に,各種データと歯周状態の相関の検討をさらに進めて行く一方,歯周炎の治療を受ける患者を対象として,歯周炎治療による各種データの変化も検討して行く予定である.
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