研究概要 |
平成19年度に行った調査結果を基に、次のように公表し、また公表を予定している。 1.『被災時における歯科保健医療体制の現状と今後の課題』 47都道府県および歯科医師会の被災時における歯科保健医療対応準備状況を調査し、相互の組織連携体制の準備は低調であったこと、被災時における歯科医療ニーズを想定していたのは県歯科医師会が48.4%、県が27.3%であったことなどの結果を述べ、緊急性への対応に加えて被災者の日常性回復を目的とするマニュアルの作成が今後の課題であることを述べた。(日本歯科医療管理学会雑誌44(3),27-134,2009.) 2.『本学歯科衛生学科3年生に対する「災害時歯科保健」教育の効果』 研究目的の一つに、被災時における歯科保健に対処するために、歯科衛生士学生が基本的に習得しておくべき事柄を明らかにすることを挙げていた。本研究で知り得た事柄を骨格に、「災害時歯科保健」を開講した。受講生を対象に調査を行い、日常性をキーワードにした本科目に、被災者のQOL回復支援に当たる歯科衛生士としての意識・態度形成に効果が期待できる事を述べた。(日本歯科医学教育学会雑誌26(1),63-69,2010.) 3.『被災地における住民の防災意識調査』 被災地における食の供給は重要な課題である。適切な食事を適度に供給するために、咀嚼状態を考慮する必要がある。防災意識と防災準備食品等について検討した。9月に坂戸市で開催される日本栄養改善学会で発表予定である。 4.『大規模地震被災地における歯科保健支援のあり方に関する検討』 被災地における歯科保健支援は、日常性の回復にも寄与すると考えられる。例えば、朝の歯みがき行動の回復により生活に規則性がうまれ、平時の生活感が戻ってくることなどである。避難所において歯科保健支援を一行うためには持ち込む救援物資の検討が欠かせない。準備する物資の決定に影響する要因を検討した。9月に千葉で開催される日本歯科衛生学会において発表予定である。
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