4種類の日常的な食事献立のin vitroリン酸カルシウム沈殿物形成への影響につきpH低落法を用いて研究した。ごはんは無定形リン酸カルシウム(ACP)からハイドロキシアパタイト(HAP)への転換反応速度を促進させたが、食パン(トースト)は抑制した。献立1と2の料理と食材はすべてACPからHAPへの転換反応速度を抑制し誘導時間を延長させた。鯖の柚香焼き、鯖の竜田揚げ、にんじん、小松菜、小松菜とにんじんの白和え、みそ汁はACP形成速度を抑制した。献立3の料理と食材では、にんじん、しいたけ、鶏肉の千草巻き、なすの煮物、みそ汁並びに、みそ汁とジャガイモは共存条件でACP形成速度を抑制したが、しらすは逆にACP形成速度を促進した。なお、さやいんげんとジャガイモ以外のすべての料理と食材はACPからHAPへの転換反応速度を抑制し、誘導時間を延長させた。唯一洋食的な献立4の料理と食材ではジャガイモ、薄力粉とバター以外はすべてACPからHAPへの転換反応速度を抑制し誘導時間を延長させた。このように、ごはん、ジャガイモ、いんげん、薄力粉とバターはACPからHAPへの転換反応速度を促進させたが、これら食材も口腔内では唾液の影響によって促進効果を発揮できないと考えられる。そのため、口腔内石灰化に関して、われわれの日常的は非常に抑制的であることが示唆される。
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