研究概要 |
国際看護協力を行う際の問題点の一つとして,派遣された国における看護に関する考え方や看護技術み日本との違いが上げられる。これまでに青年海外協力隊看護職隊員により,派遣された国での日本と異なる看護技術・看護ケアの存在,及びそれに起因する活動上の困難が報告されている。本研究では,わが国の開発途上国に対する効果的な看護協力のために,日本と異なる看護技術・ケアに着目し,その差異を明らかにするとともに根拠を分析し,日本の看護技術の国際的通用性を検証することを目的としている。3年目の平成21年度はアフリカ地域,大洋州地域,中南米地域に派遣された青年海外協力隊看護職隊員の活動報告書分析と面接調査を実施して,厚生労働省の[新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書]の中の看護技術及び助産技術の到達目標として示された技術項目分類をもとに分析を行った。アフリカでは看護技術の中の「感染防止の技術」と助産技術の中の「妊産婦ケアに関する技術に,大洋州では「感染防止の技術」に,中南米では「感染防止の技術」及び「与薬」の技術に日本との差異が多く認められた。ラオスについては現地調査結果を合わせて分析し,「感染防止の技術」「妊産婦ケアに関する技術」に多くの差異が認められ,社会文化的背景の影響が推測された。また,これまで3年間に対象とした全ての国のデータを合わせて,差異の生じる理由を考察した。その結果日本と異なる看護技術は6つに分けられることが明らかとなった。この6つの点から日本の技術のどこまでが国際的に通用するのか,また何が独自のものであるか更なる分析が必要と考えられる。
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