手術部位感染の発生は入院期間を延長させ患者のQOLを低下させるといわれているが、手術部位のスキンケアについては明確にされていない。今回、消化器外科手術を行う41症例に対して、2種類の創傷被覆材を用い創傷被覆材貼付部位における皮膚の生理機能と細菌発生の実態調査を行った。今回の調査では、SSI発生が少なく、差は確認できなかった。しかし、A群の創傷部位にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の発生を多く認めた。また、皮膚生理機能においては、角質水分量の1項目でA群はB群より有意に高い値を示した。以上の結果より、A群では血塊ができやすく、細菌発生の素地となっている可能性が示唆された。看護ケアの介入については、手術後創傷部位に対し、A群では皮膚の水分量を整え、かつ一過性の菌を排除するスキンケアの介入が、B群では緑膿菌などの一過性の菌を排除するスキンケアの介入が示唆された。
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