研究概要 |
19年度の研究目的は、1つ目に看護系大学教育の臨床薬理学的教育の現状を把握する。2つ目は、現任教育における臨床薬理学教育の現状を把握することであった。まず、2つ目の看護師の現任教育の現状調査を実施した。方法は、全国大学病院90施設および300床以上の地域連携病院150施設,計240施設を対象に郵送法にて行った.回収率は,39.6%(95/240;大学病院群43施設、地域支援病院52施設)であった.調査内容は,看護教育体制の有無,薬剤に関する教育担当者の有無とその教育体制状況,薬剤に関する事故事例分析の実施状況,19年度教育時間に対する薬剤に関する教育時間の割合、臨床薬理学的視点の教育の実施状況とその目的などとした.主要な結果として、施設の看護教育体制は整っていた。教育担当者のうち薬剤に関する担当者がいる施設は、4施設から2施設で両群ともに少ない現状であった。19年度教育時間に対する薬剤に関する教育時間の割合は、両群ともに10%程度と少ない現状であった。薬剤に関する事故事例の分析の実施は、両群ともに90%施設が実施していた。実施形式は定期的に分析を実施している施設は両群ともに50%以下であった。なお、臨床薬理学的教育の実施状況は現在分析中である。これらの結果から,現任教育における薬剤に関する教育時間の増大、薬剤に関する事故事例の分析に関する実施形式などを検討する必要性があることが示唆された。このような現任教育における薬剤に関する教育の現状や21年度よりカリキュラムの改正で臨床薬理学教育の必要性が求められている現状から、看護系大学教育の現状も希薄であることが予測されると考え、1つ目の研究目的を変更し看護学の基盤である看護基礎教育に焦点をおき、新カリキュラムに対応した教育プログラムの作成を検討することとした。まず、看護系大学教育の臨床薬理学教育のプログラム作成に関する文献検討を行った。カリキュラムの改正の趣旨である学生の看護実践能力の強化に焦点をあて、臨床薬理学的視点から学生の臨地実習における薬剤管理の体験状況に関する現状を把握した論文は見当たらなかった。このことから、臨床実習における学生の薬剤管理の体験状況の把握の必要性が示唆された。
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