20年度研究目的は、(1)実習における看護学生の服薬管理の体験状況の変化を把握する。(2)19年度実施した「全国の病院における薬剤に関する教育体制および臨床薬理学的視点の看護教育の現状調査」および20年度の調査結果の解析より、プログラム作成とその一部の効果検証であった。(2)横断調査はA大学看護学専攻4年生83名を対象に実施した。回収率は80.7%、調査内容は、服薬に関する情報収集の内容、服薬準備内容、服薬管理の体験の有無と観察内容、指導内容、薬効評価の体験の有無、臨床薬理学的知識の履修および実習体験状況等であった。主な結果は、7割以上の学生が服薬管理を体験していたが、薬効評価の体験者はわずか1割程度であった。指導内容は、薬理作用と患者の食事や喫煙状況や生活との関係の項目が少なかった。臨床薬理学的視点では「有害反応」「薬と食べ物の相互作用」「特殊状況(妊婦や授乳婦および腎臓や肝臓障害)の患者」などの項目の観察について、実習中に「学習していない、学習したかどうかわからない」と答えた者が約4割であった。この結果から、実習において「薬効評価」「生活に関連させた服薬管理指導」「年齢に応じた薬剤の使用」「薬物相互作用」などの教育の必要性が示唆された。なお、看護学生の服薬管理の体験状況の変化についての追跡調査は21年度に分析する。(2)19年度調査解析から、薬剤の教育内容では、注射技術や看護師の法的責任について多くの施設が実施しているものの「年齢に応じた薬剤の使用」「薬物相互作用」「薬物動態学」などの内容の実施が少なく、この臨床薬理学的視点が希薄していることが示唆された。なお、この報告書を全国の調査対象施設に配布した。また、教育に関する文献検討を行い、一部のプログラムを一部の学生に介入研究の手法を使い検証するのではなく、今回導かれた結果から看護基礎教育に活用できるプログラムの作成が必要であると考えた。
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