研究概要 |
国内のヘルスコンシュマの好、ニード、使用法を知るため、一般住民として岩手県民約千人、ヘルスコンシュマの有力候補者として、看護情報学の専門教育を受けた本学看護学部学生を調査し、使用法に両者の差が認められ、前者では判断を医師に頼り、理由さえ書かれていれば信じる傾向があるが、後者では発信元の権威性の確認や、信頼できる複数の情報源による内容確認を行っていることが示された。また、一般住民の中でも、インターネットの利用経験がある者は、健康情報をそのまま信じることはしない傾向があることが認められたことより、インターネットで正しく健康情報を得る習慣を普及させ、賢いヘルスコンシューマを育成するとともに、そのアクセスに耐える信頼の高い情報元への橋渡しとなる普及を図るとともに、彼等が安心して信頼できる内容の健康情報を得るためのアプリケーション作成の必要性が確認された。(遠藤良仁他:情報系学部の学生と看護情報学を学んだ看護学部学生のインターネット上の健康情報検索の仕方の差異、第33回日本看護研究学会学術集会、遠藤良仁他:ヘルスコンシューマの健康情報の信頼性の判断基準と背景要因、岩手県立大学看護学部紀要)。一方、海外の動向を知るため、文献的に調査(山内一史:Consumer health informatics研究の最近の成果、第8回日本医療情報学会看護学術大会)とともに、国際医療情報学会に参加(Kazushi Yamanouchi 他,:Reorganization of Japanese Textbooks for Nursing Informatics, Medinfo 2007)し、アメリカ政府のヘルスコンシューマ向けWebページが急速に充実してきたこと、アメリカ看護界では、この分野がヘルスコンシューマのエンパワーメントに焦点が当てれ、パーソナルヘルスレコード分野と密接に関連していることが明らかになった。これらの結果と山内の教育経験(山内一史:EBMと医療情報教育 看護学部・大学院におけEBP関連の教育経験,第8回日本医療情報学会学術大会)を踏まえ、岩手県を例にヘルスコンシューマ育成が不可能ではないことを示した(遠藤良仁 他:国内でヘルスコンシューマをどのように育てるか,第27回日本看護科学学会学術集会)。
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