研究課題/領域番号 |
19592452
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
習田 明裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60315760)
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研究分担者 |
志自岐 康子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60259140)
勝野 とわ子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60322351)
内藤 明子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (30329825)
石川 陽子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40453039)
中村 美幸 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40423818)
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キーワード | 生体肝移植 / 倫理的対応モデル / ジレンマ / ドナー / レシピエント / クリニカル移植コーディネーター |
研究概要 |
本研究は生体肝移植における様々な倫理的課題について分析し、最終的に分類されたパターンに対応した倫理的対応モデルを構築することが目的である。最終年度は過去2年間にわたって調査した日米のClinical Transplant Coordinator(以下CTC)の面接調査から明らかにされた倫理的課題について倫理原則の観点から整理した。『真実の原則』については、急性肝炎など医学的緊急性が優先されるあまりに情報提供が十分行われないことや、提供される情報の強調点が提供者の立場により無意識もしくは意図的に変わることへの疑念を挙げ、CTCはそこに移植ありきのパターナリズムの存在を感じていた。『自律の原則』については多くのジレンマのエピソードが得られた。特にドナー候補者が家族内力動の中で本当の意思を表出できないのではないか、また一度移植に向けた方向性で事が動き始めると、対象者の意思の揺らぎを不安として片付けてしまうことにジレンマを感じていた。一方米国は日本に比し意思決定に関するプロセスマップあるにも関わらず、逆にそれが杓子定規になっているのではないか等の語りがあった。『善行の原則』については、移植医療が対象者にとって善であるか否かを論ずる前に、その適応がミラノ基準等の外的基準で進められることに疑問を感じ、さらに腫瘍の大きさによる基準の判断をどうするかについては医療サイドに付託され、対象者の尊厳が蔑ろにされているのではないかという疑念を持っていた。一方『無害の原則』としてバイアビリティが低いグラフトで移植することにより、結果的に再移植を繰り返すことにジレンマを感じていた。さらに『正義の原則』についてはアルコールやドラッグによる肝疾患、ノンコンプランアンスの対象者がレシピエントになることへ資源の公的配分から疑問を感じ、『忠誠の原則』ついては、結果的にレシピエントへ嘘を告げるメディカルリーズンの問題が挙がった。
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