本研究の目的は、臨床学習環境と医療・看護システム、教育・研究システム、情報・管理システム、実践・協働システムとの関係を多面的に捉えながら、看護学生のメタ認知の発達に寄与している要因を明かにすることである。本年度は、昨年度に引き続き自記述式質問紙による調査を看護学生、実習指導者、看護教員を対象に実施した。調査内容は、対象者の背景、Clinical Learning Environment Diagnostic Inventory(以下、CLEDI)、クリティカルシンキングの態度や傾向、感情労働、教育・学習活動のメタ認知、看護実践力、臨床学習環境に関する記述である。現在、調査データの分析を進めている。 また、研究代表者、連携研究者および研究協力者(海外共同研究者含む)の間で検討を重ねた結果、看護実践能力の特徴と臨床学習環境への影響を探究する必要性が確認された。そこで、Meretojaら(2004)によって開発されたNurse Competence Scale(以下、NCS)を著者と出版社より許諾を得て活用することにした。まず、この尺度の日本語版を作成するにあたり、日本語に翻訳し、それを英語にバックトランスレーションを行い、尺度開発者の協力のもとオリジナルと日本語訳のバックトランスレーションとの意味が全項目で一致するまで翻訳を洗練する作業を繰り返し、翻訳妥当性を確保した。日本語版NCSは、看護実践の経験10年以上の看護職の専門家パネルに依頼し、Lynn(1986)が示したContent valldity indexを用いて内容妥当性を検討した。さらに、日本語版NCSとCLEDIを含めた看護実践能力のアセスメントに関する調査票を作成し、臨床の看護職を対象に調査を実施した。調査データは、現在集計中である。
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