本研究は、新卒看護師の卒後研修を支える指導者教育プログラムおよび支援システムを開発することを目的とした。平成21年度の具体的目標は、平成19年度~平成20年度の調査結果を基に、指導者教育プログラムおよび支援システム試案を作り、卒後ローテーション研修を実施している病院の関係者と実現可能性などについて検討会を行い、最終案を提示することであった。 これまでの研究結果と文献検討から、指導者教育および支援システムについて研究グループで検討を行い、試案を作成した。研修生を直接指導するプリセプターの教育の充実では、研修に関する他の病院の状況や研修生の学びなどを理解するための研修やローテーションのクール毎の到達目標を明確化するプロジェクトのメンバーになることなどを提案した。さらに指導者支援のシステムとして、研修関係者の組織化、プリセプターのディブリーフィング、研修責任者や研修担当者とのミーティング、1年に最大3ヶ所のローテーション、全職員を対象とした研修制度に関する交流会や教育に関する勉強会による新人看護師を病院全体で育てる風土の醸成、評価基準の明確化など10項目を提案した。これを基にして、ローテーション研修を数年間実施している1病院で、研修責任者(副看護部長)と教育委員である研修指導者との検討会を実施した。その結果、研究チームで考えた指導者教育および支援システムについて、実現可能性はあるが、ヒューマンリソースの問題は残ること、新卒看護師の研修に当たる教育担当者の役割を明確にすること、望ましい支援システムが構築できたとしても、問題は発生し、それを解決できる研修指導者(教育担当者)の育成が重要であることなどが指摘され、今後の課題が明確となった。指導者教育プログラムについては、必要な内容の提示に留まったが、支援システムについては具体的内容の最終案を作成した。
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