本年度は、3つの研究プロジェクトを実施した。 1.昨年から引き続いて客観的臨床能力試験(Objective Structured clinical Examination)についての先行研究の調査を実施した。 2.荒川区シルバー人材センターの高齢者20名に対して、23名の学生が対面的コミュニケーションを経験し、看護学生が臨床実習前に高齢者模擬患者に対する健康アセスメントを経験して、どのような効果があるかについて調査を実施した。(首都大学東京倫理委員会承認)結果、高齢者が看護師に期待するコミュニケーション態度は、優しい語り、理解してほしい、間違っても許してほしいなど、寛容で受容する態度を求めていた。一方、看護学生は、対話を経験することによって戸惑いが受容に転じる心境が記述されていた。この結果は実習前に実際の高齢者が患者の役割を演じてくれることで、学生のエイジズムが影響した戸惑いを軽減できると考えられ実習前の模擬患者活用を支持した。 3.「模擬患者養成プログラムーコース最終段階での介入版」を作成し、実際にS大学の模擬患者養成講座の最終段階で実施した。プログラムについて、35名の模擬患者にこの成果について調査を実施した。プログラム名は「看護教育における模擬患者の役割」とし、看護師-患者役割、リアリティーの意味、思考と感情などであり、講義形式で実施した。結果、理解度は概ね高く、役割を明らかにできる支援プログラムが求められていることがわかった。
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