研究課題/領域番号 |
19592470
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田中 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (20286371)
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研究分担者 |
坂口 千鶴 北里大学, 看護学部, 教授 (60248862)
吉原 直樹 東北大学, 文学研究科, 教授 (40240345)
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キーワード | 潜在看護師 / ワーク・ライフ・バランス / 就労 / セカンドキャリア |
研究概要 |
前年度までの研究者らの調査では、個々の家庭環境、ライフ・イベント、生活状況など異なる背景をもつ看護職者が、同じ「看護」という仕事を継続していくには、就業しやすい環境を整えていくことが重要であり、そのためには施設側がワーク・ライフ・バランス(WLB)を考慮した労働環境の整備を進めていくと同時に、看護の仕事について家族の理解を得ることの必要性が示唆された。そこで、今年度は、看護師のWLBの現状と希望する働き方、WLBと健康、就労意欲との関係を明らかにすることを目的に、大学病院の看護職者1,081名を対象にワーク・ライフ・バランスの認識を調査した。その結果、「ワーク・ライフ・バランス」の言葉を知っている人はわずか、45人(4.2%)で、生活の優先順位の理想と現実には大きなギャップが認められ、現実は仕事を中心にしているが、プライベートな時間や家事など多様なニーズがあることがわかった。勤務場所との関係では、母性系の者がWLBは良好で、外科系や集中治療室に勤務する者ほどWLBは不良であった。また、三交代勤務者は二交代勤務者よりもWLBは不良で、同じ病院であっても勤務場所や形態がWLBに影響していることが示された。さらに、仕事に満足している者、意欲のある者のWLBは良好で、仕事への満足感と意欲には有意な相関が認められた。バランスがとれているかどうか、という個人の主観を肯定的なものにするには、看護職者が仕事を肯定的に捉えることが重要であり、それには勤務の特殊性に配慮した労働環境を整備すること、職場のコミュニケーションを良くし、WLBの重要性や意義を共有できること、生涯学習を取り入れ、やりがいが持てる職場に変えていくことなどの重要性が示唆された。
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