研究概要 |
平成19年度は平成20年度から実施予定である全職員に感染予防行動に関連した意識変革を促す効果的な方法および経済的で効率的な感染管理システムの構築と具体的で詳細なガイドラインの作成に関する予備的な調査を実施した。 「職員の感染予防行動に関連した意識変革を促す効果的な方法の検討について」は,研究協力2施設(大学病院と僻地中核病院)の感染対策チームと協力し,感染予防行動の啓発活動の一つである全職員への手指衛生の実技演習を試験的に導入し,その効果について検討した。また,大学病院の慢性難治性疾患病棟へ入院してきた患者から多剤耐性緑膿菌が検出されたため,感染対策チーム活動を通して,病棟スタッフと協働で患者ニーズを取り入れた感染対策を実施し,多剤耐性緑膿菌の陰性化に成功した事例についてまとめた。一方,僻地中核病院の活動では感染対策チームの立ち上げや啓発活動に研究協力し,その活動内容を管理的立場から取り上げ,そこに勤務する職員(医師・看護師・薬剤師・看護補佐など)の感染予防行動と意識の変化について分析・検討した。 「経済的で効率的な感染管理システムの構築と具体的で詳細なガイドラインの作成」では,国内100床以上の病院の中から無作為抽出した450施設へ,感染管理システムの実態について質問紙郵送法による調査を実施した。その結果265施設から回答があり,その内103施設からはヒアリング調査の承諾を得ることができたため,平成20年度にヒアリング調査を実施する予定である。ヒアリングに調査に同意が得られなかった施設ではあるが,156施設からは当該施設における感染管理の実態について回答が得ることができており,この結果についても分析を実施し学会発表する予定である。
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