フィジカルアセスメントスキルは、国民から求められる看護実践能力の強化に応えるために必要な基礎的能力の一つである。1990年代にフィジカルアセスメントスキルが日本の看護基礎教育に導入されて、10年あまりが経過した。しかし、日本においては、看護師が行うフィジカルアセスメントの内容や看護基礎教育で教育すべき内容についての検討はほとんどなされていない。そのため、看護基礎教育で実施しているフィジカルアセスメント教育の内容と、実際の臨床現場が求めている内容の乖離が指摘されている。 そこで、看護基礎教育で教育されている内容と実際の臨床現場で求められている内容の乖離を埋めるために、教育の現場の調査結果を臨床の現場に示したうえで、臨床の現場が求めるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズを明らかにすることを試みた。さらに、臨床の現場での調査結果を看護基礎教育の現場に示し、再度教育の現場の考えを明らかにした。つまり、臨床と教育の現場の両者が求めるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズとその修得レベルを明らかにすることを試みた。具体的に実施した研究は以下のとおりである。 1.「臨床看護師のフィジカルアセスメントに関する認識調査」をインタビュー調査 2.「臨床の看護実践家が考えるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズ」をデルファイ法にて調査 3.「教育の専門家が考えるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズ」をデルファイ法にて調査 上記の調査結果をもとに、臨床と教育の両者が求めるフィジカルアセスメント教育のミニマム・エッセンシャルズを分析・検討した結果、29項目が抽出された。
|