本研究は、乳児の寝床内気候に関して、次の3点を明らかにすることを目的とする。1.乳児の寝床内気候の季節による差を明らかにする。2.母親の寝床内気候を同時に測定し、同じ環境下で、成人との違いを明らかにする。3.ウエーブ状の敷き布団やハニカム構造のシーツ、防水シーツなど特別な機能を持つ寝具を選定し、その寝床内気候への影響を明らかにする。以上3点の目的のうち、1についてこれまでに得たデータを詳細に分析し、論文としてまとめ、投稿中である。2についてデータ数を増やす予定であり21年度は1例の夏のデータを追加した。このケースでは夏季の乳児の高い寝床内湿度とともに母親の生活リズムの問題が明らかになった。それは子どもの睡眠リズムに合わせて眠ることよりも、メールをするなどの自分の時間を持とうとする結果、睡眠時間が短くなっていること、いくらかは昼寝で補われていたが、自分の時間を夜間の睡眠を削る形で得るのではなく、日中にとれるような、育児サークルや託児等のサービスが必要ではないかと思われた。そうした母親の睡眠リズムが子どもの概日リズムの安定を阻んでいるようでもあった。このことは本研究の副次的な結果であるが、生まれて間もない乳児を育てる両親の生活調整について、健康問題に至らないまでも、危険を孕んでいるケースも多々あるであろうことが推察された。3の特別な機能を持つ寝具として夏の寝床内湿度を調整するものを主として選定をすすめ、家政学の専門家との意見交換を行った。これまでの成果もふまえ、湿度調整に有用な寝具として、綿布団、麻シーツを選定するに至った。
|