平成19年度は、学士課程における助産選択学生の「職業準備行動」を明らかにすることを目的に以下の調査を行った。1)職業準備行動の測定用具、「職業準備行動尺度」の信頼性と妥当性を明らかにするために、データが蓄積できた平成16〜19年度の専修学校の卒業直前の助産学生78名を分析した。その結果、職業準備行動尺度得点は、臨床経験の有無による有意な得点差があり、構成概念妥当性は既知グループ技法により検証された。同尺度のCronbach's α係数は0.903で、内的整合性は一貫性がある。同尺度得点と自己決定型学習の準備性尺度得点は、中程度の有意な正の相関を認め、基準関連妥当性を確認した。因子分析により7つの因子を抽出し、累積寄与率は61.65%であった。同尺度の内容妥当性は、看護基礎教育、助産師教育に携わる教員4名が検討したことで確認した。以上より、職業準備行動尺度の信頼性、妥当性は確認された。2)安定性の検討を行った。大学3年生43名を対象に再テスト法によって安定性を検証した結果、高い正の相関があり同尺度の安定性を確認した。得点はアルバイト経験の有無によって差がなかった。専修学校の助産学生を対象とした同調査結果では、大学3年生の結果ほど安定性を認めなかった。したがって、職業準備行動尺度の活用は、臨床経験のない学士課程の学生に、より有用な尺度と推測できるが、平成20年度も再テスト法の期間を再調整し同尺度の安定性の評価を継続予定である。3)蓄積された学士課程の助産選択学生18名について、看護学実習前・後と助産学実習後の、職業準備行動・自己決定型学習の準備性・自己効力感・助産師に必須な能力等を分析した結果、助産学実習後の職業準備行動と助産師に必須な能力の関係は正の相関、卒業時の職業準備行動は看護学実習後と職業準備行動と正の相関を認めた。対象学生のカリキュラムは、看護学実習後に助産学実習が行われる。看護学実習の効果として職業準備行動の訓練がその後の助産学実習における学習効果に好影響を与える可能性が示唆された。
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