研究概要 |
1.患者に関する研究として、透析患者もしくは慢性腎不全患者(CKD)ステージ1~4の患者にEASEプログラム(実験群)と従来の患者教育(対照群)の検査データ(1/Cr,eGFR),セルフマネジメント行動や自己効力感,収縮期血圧・拡張期血圧および血圧測定率の効果について比較分析することを目的とした研究を実施した。介入群は18名、対照群11名であった。結果として、群内比較,群間比較とも1/Cr,eGFRともに統計的な有意差は認められなかった。しかし、介入群のセルフマネジメント行動は,介入前より介入後の方が有意に向上した。対照群では変化がなかった。自己効力感は介入群における介入前後の中央値は上昇しており,対照群は低下していた。EASEプログラムのセルフマネジメント行動の向上が見られたため、対象者を増やしたり、EASEプログラムを正確に実施することにより、今後、検査データの改善が期待できる。 2.看護職に関する研究としては、看護者向けの患者教育学習システムを開発する前段階として、看護師にEASEプログラムを学んでもらい、どのような方法が学びやすいかを明らかにするために、看護師に対してEASEプログラムの説明会を開催した。今年度は、実際にEASEプログラムを実施した。今後は半構成的面接を行い、その内容からシステムに必要な抽出する。 3.医療コストに関する研究は、CKD保存期患者にEASEプログラムを行い、EASEプログラム介入における費用分析を行うことを目的に実施した。18例の結果、12週間のEASEプログラムにかかるCKD患者1人あたりの平均費用は,19,387円であった。上記の通り、患者に関する研究では、EASEプログラム群におけるセルフマネジメント行動の向上が見られたため、今後透析治療の延期が可能となれば、直接的医療費はもちろん、間接医療費も軽減し,医療費削減への貢献が期待される。
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