研究課題
本研究の目的は、患者、看護職、医療コストという3方向に効果のある、透析看護職向けの患者教育プログラムを学ぶための学習システムの開発と評価であり、今年度は以下のことについて取り組んだ。1.患者に関する研究:透析患者のEASEプログラム学習を容易にするために、教具キットの開発と効果検証を目的とした研究を行った。その結果、食事管理に関連する教具キットである<減塩できる醤油さし>、体重管理に関連する教具キットである<セルフモニタリング表>を含む15の教具キットを開発した。その教具キットを3名の透析患者に使用してもらい、次のことが明らかになった。1)教具キットの効果を実感することが継続使用を促す、2)患者は実用的な物品を求めている、3)意匠を凝らした物品ほど患者の意欲は高まる、4)教具キットは自己管理の円滑な開始を支援する、5)患者の生活を知ることがより良い教具キットの開発につながる、6)教具キットの使用はEASEプログラムにおいて自己管理を促進する効果がある2.看護職に関する研究:EASEプログラムの目標設定が達成できた事例は、患者-看護師のコミュニケーションにおける発話の特徴を明らかにする研究を行った。その結果、看護師の<促し>と<開いた質問>は効果があることが明らかになった。また、<閉じた質問>や<否定的な発話>は、従来のコミュニケーションではタブー視されてきたが、使い方に応じて有効に働くことがわかった。3.医療コストに関する研究:CKD保存期患者にEASEプログラムを行い、EASEプログラム介入における費用分析を行った。18例の結果、12週間のEASEプログラムにかかるCKD患者1人あたりの平均費用は,19,387円であった。これは、透析1回あたりの費用約29,000円よりも安価である。そのため、EASEプログラムを12週間行ったとしても、透析を1回でも延期できれば、医療費の削減につながることが明らかになった。
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北関東医学
巻: 60(2) ページ: 163-168
家族看護
巻: 8(2) ページ: 63-68