本研究は以下の目的で調査を行った。 目的1)石川県の妊産婦と医療・行政機関の担当者双方から出産前教育の現状を明らかにする。 目的2)新たな出産前教育の体制として施設間で連携して行うマタニティクラス・ネットワークの在り方を探る。 方法:自記式質問調査で妊産婦326名と医療・行政機関のクラス担当者56名のデータ分析から以下のことが明らかになった。 結果1)妊産婦・担当者共にクラスに対する認識は低く、機関を超えたクラスの情報交換は十分に行われていなかった。 結果2)一部のクラス内容には重複があり、各機関の特性を活かしたクラスが実施されていなかった 結果3)妊産婦と担当者が望むクラスの種類には違いがみられ妊産婦のニーズに合ったクラス開催の必要性が明らかとなった。 結果4)妊産婦・担当者共にMCNへの興味関心は高く担当者からはネットワーク化の条件として他施設との理解・合意が挙げられた。以上の結果から出産前教育の現状の一部として、医療機関と行政機関の教育担当者および妊産婦へのシステム的な効率のあるクラス勧誘など企画や運営に活用できる。これらの調査結果と明らかにされた地域特性を加味した新たな地域と職域が連携できる出産前教育のモデル考案を検討するための条件整備などが抽出されたため、その基盤を準備するために分析成果を活かして対象施設に報告還元し有識者からの意見を加味してモデル試行の可能性を検討していく予定である。
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