本研究の目的は、食道切除術を体験した食道がん患者の術後生活再構築過程を支援する看護モデルを構築することである。昨年度までの研究結果より、食道切除術を体験した食道がん患者の術後生活再構築過程を支援するための看護支援として、【術後の様子がイメージできるような情報提供】【変化に適応するための時間の必要性】【嚥下困難に対する食事摂取方法の指導】【術後起こりやすい変化・障害に対する事前の情報提供】体力増強へ向けた運動療法】の5つが明らかとなった。具体的な支援方法として、【術後起こりやすい変化・障害に対する事前の情報提供】の必要性から、術後に起こりやすい、【嚥下困難に対する食事摂取方法の指導】など、食事摂取、嚥下状態に関する情報の提供、下痢や逆流に関する症状などについて、発生しやすい時期や状況などについて、【術後の様子がイメージできるような情報提供】を行うことが必要である。また、手術に伴い生じた変化に慣れるためには、時間が必要であり、【変化に適応するための時間の必要性】について説明を行い、既手術患者の状況から、目安となる時間経過についても情報提供することが、変化を実感しながら生活する患者にとっては、長期的な術後生活のイメージ化につながると考えられる。また、侵襲の大きな手術を受け、体力の低下を実感する患者がほとんどであることから、術後の早期離床、退院後の体力向上に向けた運動プログラムの開発も必要と考えられる。本研究の結果より、今後は、術前から術後早期、長期的な生活も視野に入れた、食道がん患者に対するがん看護リハビリテーションプログラムの構築につなげていきたい。
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