現行の調査では、外来治療か外来フォロー中の時期による調査であり、レトロスペクティブ調査である。 小児がん発症と診断され治療が開始されるまでには、徴候が認められ近医を受診するまで、近医で小児がんが疑われて専門病院を紹介されるまで、専門病院にて診断確定するまでの3期となるが、専門病院にて診断確定する時期の記憶が近医受診と混同され、寛解導入療法時期とそれ以外の治療時期が混同され、それぞれほぼ同時期に起こったことと認識されていることが明らかとなった。 小児がんを疑って近医を受診しているのではないため、小児がんが疑われて専門病院を紹介されることは非常に大きな衝撃となっている。また近医での小児がんが疑われたことですでに小児がんを発症したと認識しており、専門病院における確定診断は後付けと認識されている。しかし、発症の衝撃を受けた直後でありながら、近医で小児がんが疑われて専門病院を紹介され、専門病院を受診するまでのサポートがほとんどないことが明らかとなった。 小児がんの発症から治療開始まででは、発症の衝撃と過程における生活の現状維持のための努力についての印象が強く、発症の衝撃と同様に、これまでの家庭生活の維持が重要な課題となっている。子どもに対する病名告知や治療受け入れについての印象はほとんど明らかにされなかった。 小児がんの徴候が認められ診断確定までを混同していることは、発症の衝撃を示すものである。しかし、近医での紹介から専門病院受診までのサポートの空白期間も認められることから、空白期間におけるサポートを検討する必要がある。まだ経過に沿ったサポートとするためには、より詳細なデータ収集かプロスペクティブな調査が必要といえる。 発症の衝撃や家庭生活の維持への配慮が親としての重要課題であることから、子どもに対する病名告知や治療受け入れについての関心が向きにくい状況となっている。子どもに対する関心を高めるためにも発症の衝撃や家庭生活の維持に向けたサポートを検討する必要がある
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