発達障害のある子どもを育てている家族への支援としての電子メールでの療育相談の有用性の評価と保育士・幼稚園教諭や小学校教諭が発達障害児と関わる際に感じる困難感を明らかにすること、保育園・幼稚園、小学校、行政の専門職種間の連携上の問題点を明らかにすることの3点を目的に研究を遂行した。電子メールを使用した個別療育相談は4年目を迎え相談はなくなり、経過報告にとどまるようになった。1名は相談開始3年目より、心理カウンセリングを受けるようになった。対象者からはいつでも相談できる安心感があると評価されているが、診断1~2年でメール相談のニーズはなくなることが示唆された。発達障害と診断された当初に、メール相談の存在を伝えはじめの数回定期的に様子を尋ねるメールを送信すれば対象者のニーズにこたえることができると考える。 発達障害児と関わる専門職の困難感と専門職種間の連携に関しては、小学校教員5名、幼稚園教諭6名、保健師6名にインタビューを行った。 それぞれの職種が連携に関して困難感を抱えていることが明らかになった。保護者が積極的に子どもの状態を受け入れ前向きに行動するために医療者の支援を必要としているが、幼稚園教諭、小学校教諭と医療者から期待する支援を得られないと感じていた。保健師は保育園との関係は良好であると感じているが小学校との連携に困難感を抱え、自らの役割に葛藤があることがわかった。それぞれの困難感には差があり関係者が話し合う機会を定期的に設定することが重要であると考えられる。
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